起業したきっかけ・主な経歴

大学では美術を、その後は和裁を学ぶ中で布に興味を持つようになり、京都で染織を学びました。京都での学びが終わる頃神戸の展示会へ行った際に、縁あって安来の出雲織工房で修行できることになり、染織を一生の仕事にしたいと思うようになりました。また、人との繋がりや島根が好きになったということもあり、島根で染織を続けられないかと考えました。

工房での修行が終わる頃、地域おこし協力隊という制度を見つけました。川本町の場合は一芸型という協力隊の形式がありましたが、相談していくうちに起業型という形式を役場の方から提案していただきました。既存の形式にとらわれず柔軟に対応してくれるという点にも惹かれ、川本町での起業に至りました。

起業して良かったこと

自分のペースで仕事ができ、一日中仕事ができる点に良さを感じています。会社勤めですと夜中まで作業することは難しいですが、個人の場合は時間を気にせず作品や商品づくりに没頭できています。

また、好きな時間に人と会えたり、起業者同士だと平日の昼間にも会えたりするので、そういったことがいろいろな人との繋がりのきっかけになっています。独立したことで、今まで組織での人間関係がストレスだったということにも気づきました。

起業して苦労したこと

工房での修行時代は作るだけで良かったのですが、今は作るだけでなく販路開拓やメディアに出るなど全部自分でやらないといけないというところが大変なところです。一人でやるので責任も全て自分になります。仕事が特殊なこともあって、悩みを共感できる人があまりいなかったり、作品作り、経営、仕事の人付き合いの相談だったりがなかなか難しいなとも感じています。

起業を考えられている方へのメッセージ

腹をくくることが大事だと思います。もうやるしかない、やると決めてやってしまって、腹をくくれば楽になります。そして何でも楽しむ気持ちを持つことも必要だと思います。

また、ものづくりで起業される場合は、周りに人がいないのでどのように自分の気持ちを保っていくかが大事になってきます。自分との対話がたくさんあることはありがたいことでもありますが、辛いところでもあります。

今後の目標

とにかく作り続けていきます。2020年に島根県総合美術展に初めて出展しました。工芸の部で金賞をいただき、嬉しさとともに次何を作れば良いかという思いもあります。ですが、そこでへこたれていてはダメなので、その時のベストを出して今後も取り組んでいきたいです。

また、作り続けていくためには作品をお金にしていく必要があるのでそこも頑張っていきます。そして、協力隊として新しい枠を作っていただいたことや、応援してくださる方もいるのでそれに応えていきたいです。